謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は、京都大学理事・副学長の北川進氏がノーベル化学賞、大阪大学特別栄誉教授・京都大学名誉教授の坂口志文氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し、2015年振りの日本人複数名の受賞となりました。また、アベノミクスを引き継ぐ女性初の首相が誕生し、経済政策への期待から株価が上昇、希望を感じさせる1年となりました。
2022年に策定されたスタートアップに関する数々の取組も徐々に実を結びつつあります。高市政権の積極財政・成長投資もこれを後押ししてくれるでしょう。ありがたいことに、政策や日々のニュースで「知的財産」という単語を目にする機会も増えてきました。
技術革新により物の構造や生活様式が変わり、生活のあらゆる場面で効率化が求められるようになりました。しかし、効率化を追求するあまり、基礎研究の本質を見失っていないか。無駄を省くことで想定外を省いていないか。
数々の大発明は、一見すると想定外や偶然の出来事から生まれてきました。技術は本来、基礎研究から応用研究・開発研究へ、先人から後人へと引き継がれ、累積進歩するものです(この累積性を前提に特許制度は設計されています)。特許制度は最先の技術を扱いながら、同時に先人の努力に報いる制度でもあるのです。
近年の効率化の議論は、技術の累積性・成長過程やコモディティ化に何らかの影響を与えているのではないか。この技術革新や技術環境の変化が、グロース市場の伸び悩みやIPO長期化にどう影響を与えるのか。このような観点が、より充実したバリュエ―ション・出願計画に繋がるのだろうと思います。
来年度は日本弁理士会において、スタートアップ知財価値評価プロジェクトの後継として、ディープテックの資金調達を検討するプロジェクトを立ち上げることが決まりました。より一層努力をして参る所存ですので、変わらぬお引き立てを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
弁理士 大松崎明子